藤巻健史が指摘する「中国株安から学ぶ2つの教訓」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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藤巻健史が指摘する「中国株安から学ぶ2つの教訓」

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

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中国株安から学ぶ点は…

中国株安から学ぶ点は…

 中国では経済の減速にもかかわらず、昨年夏から株価が急上昇した(上海総合株価指数は今年6月までの1年間で2.5倍)のは中国政府が「株高政策」を取ったからだと言われている。日本で86年から88年まで、消費者物価指数(CPI)が1%以下で低位安定していたにもかかわらず狂乱経済が発生したのは、土地と株価がバブル化し、そのおかげで土地と株を持っている人たちがお金持ちになったつもりで消費を増やしたからだ。資産効果というが中国政府はそれをまねしたのだろう。一方、バブル懸念で株価が下落を始めると、今度は消費を下押しし、それを見て株価が更に下がるという悪循環が始まる。これが逆資産効果だ。この1カ月で30%も落ちた中国株価が今後、中国人民を苦しめるかもしれないのはこのメカニズムだ。資産価格の上昇・下落はこれほどまでに景気に影響を与えることを学ぶべきだ。

 学ぶべき第二は、中国は10%の経済成長から減速したといっても、今のところ7%もの成長が見込まれている点だ。今回の株安でさらに減速するにしても、日本の経済に比べればはるかに良い。名目GDPが中国に抜かれて世界3位になったと大騒ぎしたのはたったの5年前にすぎない。それが今や、中国の名目GDPは日本の約2.2倍だ。これは資本規制をかけながらも、人民元を極めて安い水準に保っていたからだ。1980年に1人民元は150円もしたのに、今や20円ぽっちだ。

 120円のドル/円が900円になったと同じマグニチュードだ。日本が円高を放置し、経済を長期に低迷させたことに学び、中国は米国からの強烈なプレッシャーにも動じずお茶を濁す程度にしか元を切り上げてこなかった。これが、今までの中国の大きな経済成長の一番の理由だったことを忘れてはならない。

週刊朝日 2015年7月24日号


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藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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