田原総一朗「安保法制で日本は『米国の仕掛ける戦争』にもつき合うのか?」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「安保法制で日本は『米国の仕掛ける戦争』にもつき合うのか?」

連載「ギロン堂」

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安保法制で日本はどうなる?

安保法制で日本はどうなる?

 第2次大戦後、アメリカは何度も戦争を行っている。ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争などだ。だが、どの戦争も例外なくアメリカが仕掛けた戦争であり、アメリカが他国から「武力攻撃」されたことは一度としてない。そして今後も、いずれかの国がアメリカに戦争を仕掛けるなどということは起きえないのではないか。

 たとえば、中国が南シナ海でいくつもの岩礁を埋め立てて滑走路をつくるなど基地化して、フィリピンやベトナムなどとの緊張感が高まっている。アメリカ政府も繰り返し怒りの発言をしている。しかし、中国が南シナ海で、アメリカが正面にいることを承知で、フィリピンやベトナムと事を起こすとは思えない。アメリカも中国と事を起こすつもりはなく、「武力行使の新3要件」のような事態は生じないはずである。

 だが、これまで何度も起こしてきたように、アメリカが仕掛ける戦争がこれから先、起きる可能性はある。

 アフガン戦争やイラク戦争の失敗で、オバマ大統領は「世界の警察」であることをやめると宣言した。これまでのいずれの戦争も、アメリカとしては「世界の警察」としての戦争のつもりだったのだろうが、それをやめるというのだ。そのためかシリアのアサド政権への空爆も行わなかったし、IS(「イスラム国」)との戦争も行っていない。

 だが、私はオバマ大統領は特異な存在だととらえている。「世界の警察」であることをやめるのは、実は少なからずアメリカ国民のプライドを傷つけることになるのではないだろうか。「世界の警察」としてくり返し戦争を展開したのは、言ってみれば、それがアメリカ国民のプライドを満たす使命感となっていたのではないのか。

 そして、アメリカが戦争を仕掛けられて武力攻撃されることはなくても、アメリカが仕掛けた戦争で、相手国がアメリカ軍を攻撃することは、当然あり得る。

 問題は、アメリカ軍がこうした攻撃を受けたケースに、「新3要件」を当てはめるのかどうか、ということだ。あるいは、ベトナム戦争やイラク戦争のようなケースでアメリカ軍が攻撃されたとき、「重要影響事態法」などが発動されて、自衛隊がたとえ後方支援にしても参戦するということになるのかどうか。もしかすると、あり得るのではないか。 

週刊朝日 2015年7月24日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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