石原:放射能汚染が怖いのは、チェルノブイリの時もそうだが、次々世代まで影響が出ることだな。

亀井:ぜひ慎太郎先生に、作れるのなら新しいものを作ってもらいたいが、その前に、いつ大地震がくるかわからない。私が運輸相だった時、阪神・淡路大震災があった。当時も地震学者の誰もが大地震を想定せず、日本列島はなまずが目を覚まして大騒ぎになった。地震大国なので原発は考え直したほうがいい。

石原:具体的にどうする?

亀井:東日本大震災が起きた3月11日、私は官邸にいた。東京電力は冷静に対応できず、菅(直人元首相)が癇癪(かんしゃく)を起こし、福島第一原発に行くまでまったく情報がこなかった。信頼できる技術を慎太郎さんが完成させるまで、原発の再稼働は止めなければならない。

石原:全部止めろと?

亀井:そう。今も全部止まっているけど、電力は余っている。代替の再生エネルギーなどの知恵を出すのが政治家の務めだと思う。私は太陽光発電、バイオマスをやろうと思っている。

石原:じゃあ、政治家辞めて、経営者になりなさいよ。でも、電力は余っていないし、(再エネは)採算があわないでしょう。

亀井:二足の草鞋(わらじ)でやる。政府の横やりで再エネは行き詰まってきたからね。

石原:日本は世界で一番大きい火山脈の上にあり、危険な国土だが、逆手にとって新しい技術を開発して、地熱発電をやればいい。

亀井:私は吉野杉の間伐材のバイオマスをやるつもり。政府は福島の汚染をのど元過ぎれば、と忘れて、再稼働と言っているが、冷静さを取り戻さないといけない。今の原発はトイレなしに飯を食う状態だ。

石原:使用済み燃料の再処理ができる高速増殖炉はもうやらないのかな。日本とフランスが一番、進んでいるのに、「もんじゅ」はつまらない理由で止まったままだ。

亀井:今は新しいエネルギーに目を向ける叡智を持ち、人類がどう生き延びていくかを考える時だ。

石原:それは本気で考えるね。僕は孫が7人いるから、この子たちが大人になった時に地球はどうなっているかと心配になる。地球を滅ぼさないよう、われわれも努力しよう。

(構成 本誌・古田真梨子、西岡千史)

週刊朝日 2015年7月24日号より抜粋