北京の証券会社で「値下がり」を示す株価ボードを見守る投資家たち (c)朝日新聞社 @@写禁
北京の証券会社で「値下がり」を示す株価ボードを見守る投資家たち (c)朝日新聞社 @@写禁

 中国株の暴落で、“爆買い”もいよいよ終わりを迎えるのだろうか? この1カ月間で上海株式市場の株は約3割下落した。「中国バブル崩壊が始まった」と見る向きもある。

 乱高下する中国株に振り回されているのが、アベノミクスで好調なはずの日本の株式相場だ。7月8日、上海総合株価指数が前日比5.90%値下がりし、3507.19ポイントで取引を終えると、東京株式市場も売り一色。日経平均株価は2万円を割り込んだ。

 SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは言う。

「上海総合株価指数が2000ポイントまで下落すると仮定すると、中国の投資家たちは総計で約13.3兆円損することになります。この半分が家計消費の減少につながるとすると、中国のGDP(国内総生産)は0.5ポイント低下します」

 富裕層の個人消費の冷え込みは、中国人観光客による日本での“爆買い”に響きかねない。中国人観光客の消費額は訪日外国人の中で最も多く、14年は総額5583億円(全体の27.5%)となっているが、これが吹っ飛ぶ可能性がある。

 空売りの取り締まりに加え、政府系金融機関などによる買いが入ったこともあり、上海株式市場は上昇に転じた。政府の介入によって市場の混乱はいったん収まったように見える。ただ、「売りたい人が売れない状態なだけ。先延ばしにしても、(株価が下がるのは)時間の問題でしょう」と第一生命経済研究所の西濱徹・主席エコノミストは言う。

 株価だけではない。問題の根本はもっと大きなところにある。

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