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 認知症早期治療実体験ルポ「ボケてたまるか!」の筆者で、認知症早期治療を始めて1年半になる山本朋史記者。マスコミの取材を受けて、こんなことに気づいたという。

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 これまで、認知症が引き起こす徘徊などという現実がマスコミで大きく取り上げられてきた。主に認知症の人たちを支えて苦闘する家族や介護者の立場からのアプローチが多かったように思う。

 65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症になる可能性が高いと言われてから、最近は認知症予防に報道の重点は移ってきたようにも思う。早期発見、早期治療の前提は偏見をなくすことだ。その流れをつくろうとするときに、ぼくは格好の狂言回しだったのだろう。

 しかし、NHKの専門記者などこの問題と長く取り組んできたスタッフは別として、認知症や軽度認知障害(MCI)に対するメディアの理解はまだ浅いとつくづく思う。ある民放テレビのディレクターは何回もMCIと精密検査のMRIという言葉を間違えたし、別の記者は、ぼくがコンビニおにぎりのセロハンをはがして食べるのを見ながら、

「上手にはがせるんですね。認知症の方はうまくいかないと言いますよね」

 と言われた。驚いた。MCIと認知症が一緒のものだと思っていたようだ。ぼくも自分がMCIと診断されるまでは、軽度認知障害というのは「軽度認知症」と思っていたのだから、他人のことは言えないが……。

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