そうなれば、超物価高となり、中小企業はバタバタと倒れ、国民の生活は地獄を見ることになる。ギリシャと経済の規模は違えども、財政危機は訪れるのだ。歳出削減なくして財政再建はない。

「しかし、今もらっている年金をカットして、税負担を課す政策を打ち出す議員には票は入らないので、限界まで先延ばしとなるでしょう」(同)

 今すぐに借金依存体質から転換しなければ、日本に未来はない。

 元大蔵・財務官僚の岸本周平衆議院議員(民主党)も苦言を呈する。

「アベノミクスで成功して物価が2%上昇したら、5年後に利払いだけでも12兆円ぐらい増える。政府の資料でも20年以降に財政赤字は膨らむ計算なので、早く歳出カットしなければ日本は本当に破綻してしまいます」

 6月末に発表された「骨太の方針」に、「年金の支給開始年齢の引き上げ」などの年金改革案が載っていないのは、来年の参議院選挙で与党が不利になるからだと批判する。さらに、外資系大手金融会社、JPモルガン証券出身の中西健治参議院議員(無所属)が続けて言う。

「安倍政権は『20年にプライマリーバランス(PB)黒字化』ばかり言っているが、歳出削減の中身はなく、すべて検討課題になっている。しかも、経済成長しても9.4兆円の赤字が残るという楽観的シナリオを採用している。それよりも、16.4兆円の慎重シナリオのほうが現実的。それでもわからないのが財政の世界」

週刊朝日  2015年7月17日号より抜粋