株主総会時に「家具は幸せな時に買うものでしょう。誰も、父と娘がもめているような会社の家具を買いたいとは思わない」と株主から批判されたことを意識したのかもしれない。

 2日に行われた久美子氏の会見では、新しい経営計画にも言及。今後は新しい家具を買った人から不要になった家具を買い取り、中古市場を確立するという。

「修理や加工をすれば、国内の職人さんのためにもなります。自動車のように、中古市場ができると新商品を買いやすくなり、家具全体の売り上げも増えると考えます」(久美子氏)

 実は父・勝久氏も以前から「高付加価値の家具の修理工房を作り、リユースに取り組みたい」と語っていた。委任状争奪戦では争った2人だが、経営方針では重なる部分もあったようだ。

 記者から父との関係について問われた久美子氏は硬い表情で胸中を明かした。

「ビジネスで安心してもらうことや喜んでもらうことが増えることで気持ちがほどけていき、訴訟の解消につながっていけば。それが一番いいです」

 久美子氏は自らに言い聞かせるようにこう語った。「家具には人を幸せにする力がある」

(本誌・長倉克枝、一原知之、永野原梨香/岸本貞司)

週刊朝日  2015年7月17日号