カトリーヌあやこ 黒木華“目がテン”女優と評す
連載「てれてれテレビ」
そんな黒木華、似顔絵で描くとすごくシンプルです。ツルンとした顔に、目がテン。そうなんです、視聴者に白目をもたらす女優は、似顔絵にすると、おおむね非常にシンプル。
例えば市原悦子。テン目で、あなたの家庭を見透かしている。「世界ふれあい街歩き」のナレーションを務めた時には、太陽輝く南国の街を、問答無用で「ぼうや~よいこだ、ねんねしな~」ムードにおとしいれ、視聴者白目。
例えば大竹しのぶ。笑っていても笑ってなくても、小さく黒目がちな瞳。阿川佐和子の「サワコの朝」に出演した時のぶっちゃけ恋愛トーク。
「私と別れたほうが全然、野田(秀樹)さんもよかったし、(別れた後の方が)面白いし。さんまさんも、私と結婚してる時は……あんまり面白くなかった」
それって、しのぶが何かいろいろ吸っちゃうってこと?と、恐怖の白目。
例えば白石加代子の語る「百物語」シリーズ。テンのような目が、魔にとりつかれたようにカッと見開かれ、むしろ加代子が白目。
目がテン女優たちは、シンプルな面立ちだからこそ、その仮面にあらゆる役を憑依させる。一見地味で穏やかな瞳が、ギラリと光を帯びた時、この世のものでない芝居の幕開けだ。
最新の目がテン女優・黒木華も、「ガラスの仮面」の名場面、「こんなうめぇもの食ったことねぇ」と、泥まんじゅうをむさぼり食うシーンが絶対似合うはず。
※週刊朝日 2015年7月10日号
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。
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