室井佑月「ズルい人たちは考えることがこすい」
連載「しがみつく女」
そうそう話を戻して19日の国会。
辻元さんは政府の出した安保関連法案は、「砂川判決が根拠か」と訊ねた。合憲だとし、安倍内閣のみなさんは必ずその話を持ち出すからさ。
「昭和47年の政府見解が根拠なのか」とも訊ねた。
「政府は何を根拠として合憲といっているのか!」
辻元さんは激しく詰め寄った。が、菅官房長官も、中谷防衛大臣も、のらりくらりと話をはぐらかす。
はっきり根拠を示せば、そのむりくりな根拠が崩され、議論に負けるから。だから誤魔化す。ズルい人たちは考えることがこすい。
質問にお二人がきちんと答えようとしないから、辻元さんは何度もおなじ質問をした。でも、はぐらかす。そしたら、辻元さんは座ったままで審議を止めた。
そうだよ。安倍政権の人々は、いつもまともに質問に答えないから、まともに答えるまで毎回、審議を中断させちゃえばいい。彼らが質問にちゃんと答えるまで、我々国民が納得できるまで、審議をつづけてよ。
だけど、浜田委員長は、「菅官房長官はこの後、記者会見があるんですから」
と審議を早く終わらせろ、というようなことをいっていた。
記者会見て、マスコミ用の報告だろ。進まない審議より進んだ審議の報告の方が、大切だろ。違います?
※週刊朝日 2015年7月10日号
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中。
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