田原総一朗「国民に説明できない安保法制は日本の『主体的戦略』なのか」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「国民に説明できない安保法制は日本の『主体的戦略』なのか」

連載「ギロン堂」

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 だが、そのことと集団的自衛権の行使との間には飛躍がありすぎる。昨年7月、安倍内閣は公明党との閣議決定による「新3要件」を発表した。私は、このプロセスで公明党は頑張ったと思う。「新3要件」により、閣議決定は実質的には個別的自衛権の範疇に入るものになったはずだった。北朝鮮有事も、南シナ海有事も、個別的自衛権の範囲外ではない。

 ところが、安倍首相が「ホルムズ海峡の機雷封鎖」に言及した。もしイランがホルムズ海峡を機雷で封鎖すると、日本で必要な石油の80%が来なくなり、日本の産業、日本人の生活が著しく脅かされる。だから、海上自衛隊の掃海艇を派遣して、交戦下といえども機雷除去を行わなければならないというのだ。

 たしかにホルムズ海峡の機雷除去は周辺事態法の範囲を超え、集団的自衛権の行使が必要になる。だが、なぜ唐突にホルムズ海峡が出てきたのか。そこで資料を調べていたら、6月26日号で紹介した「アーミテージ・ナイ・レポート」の記述にめぐり合ったのである。

 1991年の湾岸戦争のとき、日本は130億ドル拠出しながら「NATO(No Action,Token Only)」と非難された。トークンとは当時ニューヨークの地下鉄で使われていた切符代わりのコインである。アーミテージに「Show the flag」と言われ、イラクに自衛隊を派遣した事実もある。

 6月26日号の記述には少なからぬ批判があった。日本政府はアーミテージ・レポートなどでは動かないというのだ。私も、そうあってほしい。日本の主体的な戦略であってほしいと願っている。だからこそ、なぜ個別的自衛権や周辺事態法では駄目なのか、納得できる説明がほしいのだが、それが欠落しているのである。

週刊朝日 2015年7月10日号


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田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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