会見する豊田社長 (c)朝日新聞社 @@写禁
会見する豊田社長 (c)朝日新聞社 @@写禁

 トヨタ自動車常務役員のジュリー・ハンプ容疑者(55)が麻薬取締法違反(輸入)容疑で逮捕された事件が、さらに燃え広がっている。6月23日、警視庁が愛知県豊田市のトヨタ本社、東京都文京区の東京本社など3カ所を家宅捜索したのである。

 ハンプ容疑者は取り調べに「腰やひざの痛みの緩和のために必要だった」「輸入はしたが、麻薬ではない」などと話し、容疑を否認しているという。

 ハンプ容疑者が輸入したのは、「オキシコドン」という麻薬成分を含む錠剤57錠。米国では処方箋があれば痛み止めとして容易に入手できるため麻薬としての乱用が横行し、社会問題化している。薬物問題に詳しい小森栄弁護士がこう語る。

「ヘロインよりは純度が低いが、アヘンの一種で依存性がある。ただ、米国は麻薬所持への処罰が日本より軽く、単純所持だけで逮捕されるケースはほとんどない。報道された供述を見る限り、ハンプ容疑者側は『違法性の認識がなかった』などと主張し、不起訴に持ち込む戦略ではないか」

 捜査の行方はさておき、苦境に立たされたのはトヨタだ。4月に就任したばかりのハンプ容疑者は広報の責任者で、トヨタ初の女性常務役員。抜擢した豊田章常務役員。抜擢した豊田章男社長は逮捕翌日の19日に会見し、「私にとってもトヨタにとってもかけがえのない仲間」「捜査を通じて、法を犯す意図がなかったことが明らかにされると信じている」と、かばった。この会見に違和感を覚えたと語るのは、危機管理コンサルタント会社「リスク・ヘッジ」の田中辰巳代表だ。

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