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 人には聞けない「お口」の悩みを、現役歯科医がズバッとお答えする。今回は入れ歯の悩み。

Q1:歯みがき剤でみがくと入れ歯もきれいになる?

A:鶴見大学歯学部病院の大久保力廣歯科医師によれば、入れ歯を使用している場合は、「家庭で毎日するセルフケアのひとつとして、入れ歯の掃除をすることも重要」という。基本的には、毎食後、入れ歯を外して流水ですすぎながら、義歯専用ブラシを使って汚れを落とす。

 歯みがき剤には研磨剤が入っているので、基本構造がプラスチックタイプの入れ歯は研磨剤によって傷ができると、さらに汚れがつきやすくなる可能性がある。そのため、入れ歯の手入れには、歯みがき剤は使わないのが基本だ。

 また、プラスチックという素材は樹脂でできた、中に細かい穴がたくさんあいている構造なので、よく水分を吸収する。そのため、使い続けるうちに入れ歯の内部に汚れが浸透し、歯ブラシでこすっても落とせなくなる。しみついた汚れを放置しておくと口臭の原因になることもあるため、歯ブラシで洗った後には必ず、義歯用の洗浄剤に漬けて除菌、殺菌を実施することが望ましい。歯ブラシのみと、歯ブラシと洗浄剤を併用した場合では、除菌効果が大きく異なることがわかっている。

 入れ歯は、「流水とブラッシングで表面の汚れを落とす」+「洗浄剤に漬け置きして内部まで除菌、殺菌する」の併用がケアの基本と覚えておこう。

Q2:地震がこわい。寝るときも入れ歯をつけたままでいい?

A:急な災害などで入れ歯を紛失してしまうことはある。実際、東日本大震災のときにも、入れ歯をなくした人が多数いたとされており、そのような体験から、あるいは人からそのような話を聞いて、心配で寝るときにも入れ歯をつけたままにしている人もいるようだ。

 しかし、入れ歯を長い時間つけたままにしておくと汚れがつきやすくなるのが問題だ。歯や粘膜の負担を減らすためにも、夜、寝るときには入れ歯を外すことが望ましい。

「また、入れ歯は乾燥に弱いため、外しているときは必ず水に漬けて保管しておくことが大事です」(大久保歯科医師)

週刊朝日  2015年7月3日号より抜粋