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 詩人、エッセイストの佐々木桂さんが、日本津々浦々に残る田園風景とその米を紹介する本誌連載「美し国、旨し米」。今回は脚光を浴びる古代米について取り上げる。

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 現在、コシヒカリをはじめ全国で栽培されているお米の大半は、明治以降、人の手によって品種改良されたものだ。しかし、最近、それらとは別に、古代米というお米がちょっとしたブームになっている。

 古代といっても、さすがに縄文・弥生時代そのままの米というわけではない。稲の原種である「野生稲」の特徴を受け継いでいるお米だ。その生命力の強さから、荒れ地でも、無農薬でも、肥料がなくても十分丈夫に育つ、元気な野生児のお米くんだ。収穫量が少ないなどの難点もあり、神事用以外、ほとんど生産されていなかった。

 しかし、白米に比べてタンパク質やビタミン、ミネラルが豊富なことから、昨今の健康ブームで脚光を浴び始めたのだ。

 古代米には、その色によって赤米、黒米(紫米)、緑米とあり、赤米は赤飯のルーツ、黒米はおはぎのルーツでもあるとか。一度、お試しあれ!

週刊朝日  2015年7月3日号