元行革担当相村上誠一郎むらかみ・せいいちろう/1952年生まれ。東京大学法学部卒。86年の初当選以来、10期連続当選。行政改革・規制改革担当大臣などを歴任(撮影/工藤隆太郎)
元行革担当相
村上誠一郎

むらかみ・せいいちろう/1952年生まれ。東京大学法学部卒。86年の初当選以来、10期連続当選。行政改革・規制改革担当大臣などを歴任(撮影/工藤隆太郎)

 国会を騒がせている安保法制。「高村、谷垣両氏とは議論にならない」というのは、自民現職唯一の反対派、元行革担当相の村上誠一郎氏だ。

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 政治家の間で「Wバッジ」と言われる人がいます。国会議員と弁護士のバッジの二つを持っている国会議員のことです。今の党執行部にも3人のWバッジがいます。この人たちが、法律の専門家なのに、今回の安保法制について正しい意見を言わない。それどころか「カラスは白い」と言わんばかりの詭弁を述べている。

 6月9日の党の総務会で、私は、今回の法案は政治家の良心と信念に関わる問題だから「党議拘束を外すべきだ」と発言しました。そうしたら、高村正彦副総裁が私に向かって、「砂川事件の最高裁判決を読んだことがあるのか」と言う。何て失礼なことを言うのかと怒りを感じました。

 砂川判決は、在日米軍基地が憲法上許されるかが争われた裁判です。集団的自衛権が争点ではないことは、誰でも知っている。当時の弁護団も、「砂川判決から集団的自衛権を読み取れる目を持った人は、眼科病院に行ったらいい」と言っているのです。私は、「砂川判決が根拠だと言っているのはあなただけだ」と言った。すると、高村副総裁は「私のほうが学者よりも勉強している。学者の話を聞いて国が守れるのか」と。

 弁護士である谷垣禎一幹事長にも、何度も意見しました。「このままでは違憲訴訟が起きて、違憲判決が出る可能性がある」と話すと、「違憲訴訟が頻発するとは思わない」という。議論にならないわけです。

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