というように、同じテキストを繰り返し、「自分の苦手集」づくりに取り組んだ。

 加えて効果があったのが勉強の記録だ。岡本さんは、自分が勉強する予定の教科と、「古文問題集11ページ」などの具体的な内容を、毎日手帳に記し、教科の偏りや、勉強内容の重複・抜けがないか確認した。これが、思わぬ効果も呼んだという。

「勉強した記録が残るだけでなく、今日はこれだけやったという満足感も得られる。モチベーションが保てました」

 一方で効率を重視する意見もある。精神科医で受験アドバイザーとしても活躍する和田秀樹さんは、いま点が取れていない科目だけを集中して学ぶ「超効率型」の勉強法が効果的だと話す。

「受験に受かるには合格点に達しさえすればいい。だから、何が自分の穴かを見極め、そこだけを重点的に勉強していけばいいのです。あと10点、20点のために必ずしもすべての教科を勉強する必要はない。限られた時間の中では、これを伸ばしたいというものに時間をかけ、無理なものは捨てるという選択も時には有効です」

『偏差値29からなぜ東大に合格できたのか』(幻冬舎)などの著書がある、作家でイラストレーターの杉山奈津子さんも、苦手な教科に集中した学習をすすめる一人だ。杉山さんは、予備校に通わず、効率を突き詰めた独自の勉強法で、2002年、東大理科二類に合格した。

 杉山さんは、今は「敵を知る時期」という。浪人の最初に取り組んだのが、「東大の出題傾向の分析」だ。ここで活用したのが赤本。通常、赤本は、問題集などで基礎固めをした後、秋から冬に手をつけるのがセオリーとされているが、杉山さんは5~6月の早い時期に、数年分を解いた。できた・できないを知るためではなく、大学が好む問題や出題範囲をつかむためだ。

「赤本は、大学の『こういう問題を解ける学生がほしい』という意図を理解する最良の資料です。そこを分析して、例えば英語の1問目が英文要約なら、要約の勉強をする──といったように進めると効率がよいと考えました」(杉山さん)

週刊朝日 2015年6月19日号より抜粋