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プティ・マンサン 2013
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 栃木県の東武足利市駅から車で市街地を抜け林の中の細い道を走ると、山に広がるブドウ畑に突き当たる。ここは、知的障害者の支援施設「こころみ学園」を母体とするココ・ファーム・ワイナリー。転げ落ちそうな斜面で、ワイナリーのスタッフと園生が力を合わせて作業をする。

 畑にはプティ・マンサンというブドウも育てられている。栽培のきっかけは、足利の土地と気候に適したブドウを育てようという試みだった。世界中を探し、2006年に仏南西部が原産のこの品種を植えた。

 5年後、まとまった量の収穫にこぎつけ、「プティ・マンサン」が誕生した。

 パイナップルやオレンジのような香り。飲んだ瞬間、醸造責任者の柴田豊一郎さんの心は躍った。

「たっぷりとした果実味がありながら、豊かな酸が生きている。今までにない味わいでした。園生とスタッフの日々の努力のおかげです」

 新しい「こころみ」がやっと実を結んだ。

(監修・文/鹿取みゆき)

週刊朝日 2015年6月19日号