藤巻健史「円安加速、ハイパーインフレに警戒せよ」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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藤巻健史「円安加速、ハイパーインフレに警戒せよ」

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

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白鵬は寄り切りで栃ノ心を下す (c)朝日新聞社 

白鵬は寄り切りで栃ノ心を下す (c)朝日新聞社 

 ボックスレンジ(値段が一定の間で行ったり来たりすること)が長く続いたので、為替はあまり動かないと思っている読者の方も多いかと思う。しかし「動くときは動く」のだ。

 1980年代、ドル円相場はよく動いた。84年末のレートは1ドル=251.58円、85年末は200.60円、86年末は160.10円、87年末は122円と、毎年約40円ずつ、3年間で130円も円高が進んだ。逆も真なり。3年で122円が251円になっても全くおかしくないと私は思っている。

 ところで86年から89年といえば、バブル期で経済が狂乱したときだ。このときの消費者物価指数(CPI)は全国(総合・除く生鮮食品)で85年2.0%、86年0.8%、87年0.3%、88年0.4%、89年2.4%で、今日、政府・日銀が景気回復のために不可欠としている2%より、ほとんどの期間で、はるかに低い。

 あのときの狂乱経済は、株と不動産などの資産価格の急騰によって起きたものだ。資産価格はCPIの構成要因ではなく、高騰してもインフレとは言わない。ここから推論できることは二つ。一つは「政府が金科玉条とするCPI2%は景気回復にとって必須ではないのではないか」ということ。二つ目は「バブル期にあれほどの金融緩和(利下げ)をしてもCPIが急騰しなかったのは円が暴騰したせいではないか」ということ。

 そうであれば、バブル期同様、資産価格が上昇しているうえに、円の下落が加速しつつある今、ある日、突然CPIが暴騰し、ハイパーインフレへまっしぐらとなる可能性があると、私は危惧してしまうのだ。

(なお、ドル/円予想に関しては、いつもどおり「損したら自己責任、儲かればフジマキの貢献(笑)」のスタンスでお願いします)

週刊朝日  2015年6月19日号


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藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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