昨年1月までの8カ月間、A氏の団体で働いた女性も困惑しながら話す。

「経歴が立派だったので団体に入ったが、講演のDVDを、問い合わせをしてきた人に送る作業をさせられた。私や講演を聴きに来た人にA氏は『100%の献身をしろ』と迫り、怖かった。信者は全国に100人弱いたと思う」

 A氏については、「征服的、排他的」で知られる韓国のキリスト教系団体に、もともと所属し、そこから独立したとの情報もある。A氏の逮捕状を取ったのは千葉県警だけだが、同様の被害は16都府県、48寺社に及ぶ。

 一方、もう一つの顔であるニューヨークの「産婦人科医」としての評判は、それほど悪くはない。子宮の病気で一昨年までの2年間、A氏の診療所に通った女性(30代)は言う。

「受付にトップ・オブ・ドクターの賞状が2枚貼ってありました。毎回5分ほどでしたが、エコーをあてながら丁寧に内診。私の友人がA氏の手術を受けたのですが、痛みもなく傷痕もきれいで喜んでいた。日本に帰国した際に病院で医師から『すごい腕の方に手術してもらいましたね』と言われたようです」

 妊娠中の妻とともにA氏の診療所に通ったという男性も「頻繁に日本に帰国し、連絡が取れないことには困ったが、診察はしっかりしていた」と答えた。

 A氏は、どこにいるのか? 診療所に電話をすると、米国人の女性スタッフが「A氏は不在。メッセージがあれば伝えておく」と答えた。A氏が真相を語る日は来るのか。

週刊朝日 2015年6月19日号