「お客様に迷惑をかけないよう全力を尽くす」と謝罪する日本年金機構の水島藤一郎理事長ら (c)朝日新聞社 @@写禁
「お客様に迷惑をかけないよう全力を尽くす」と謝罪する日本年金機構の水島藤一郎理事長ら (c)朝日新聞社 @@写禁

 サイバー攻撃を受けた日本年金機構から、約125万件の個人情報が流出した問題にからみ、混乱は広がるばかりだ。

 塩崎恭久厚生労働相が報告を受けたのが、最初の不正アクセスから20日も経ってからだったこと。情報を管理するファイルでパスワードが設定されていたのはわずか1%未満だったこと。こうした事実が次々と発覚し、政府への不信は募る。

 加えて、この騒ぎに便乗してお年寄りらを食い物にしようと、魔の手が伸びている。情報セキュリティー大手のトレンドマイクロ社の高橋昌也さんによれば、

「個人情報は闇サイトで、千件幾らといったリストの形で売買される」という。

 懸念されるのは、「なりすまし」による被害だ。

 流出した情報のうち約5万2千件は、基礎年金番号、氏名、生年月日、住所の4種類すべてが漏れた。これらの情報を届け出書に記入して送付すれば、年金受給者の住所を変更することは可能だ。年金の振込先を勝手に変えられて詐取されかねないといった報道も出たため、「年金を取られたら国は責任をとってくれるのか」(72歳男性)と、憤るお年寄りは多い。

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