AERA dot.

生活保護者のほうが平均的サラリーマンより実収入が上? 

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

このエントリーをはてなブックマークに追加

相続税に関するセミナーが増えている (c)朝日新聞社 

相続税に関するセミナーが増えている (c)朝日新聞社 

 所得税+住民税の最高税率55%、相続税の最高税率55%だから、ある一定以上の収入を稼ぐと、さらに100万円を稼いでも子供に20万2500円しか残せない(100万円×45%×45%)。これでは、その段階に達した時点で働くのをやめてしまうだろう。そこから失敗して大損の可能性がある一方、成功してもリターンが少ない「ハイリスク・ローリターン」の世界に突入するなら当然の判断だ。

 これでは産業の新陳代謝を促し、将来の労働場所を提供してくれるベンチャーは育たない。経営者がすぐ降りてしまうからだ。

 ところで、4月13日の参議院決算委員会で国税庁に聞いたところ、勤労者の平均年収は414万円だが、年収400万円の人の手取り額(税金と社会保障費を引いた額)は、配偶者と高校生の子供2人がいる家庭では、330万円だそうだ。

 次に厚労省に「配偶者と高校生の子供2人がいる50歳代の生活保護者への給付額」を聞いた。東京都三鷹市では340万円だという。税金や社会保障費は払っていないだろうから、勤労者の平均と同レベルの手取り額だ。さらには、弱者救済ということで、生活保護家庭は医療費、介護費用、都営地下鉄、バスなどが無料だそうだ。勤労者は当然これらのコストを自分で払う。生活保護者のほうが平均的サラリーマンより実収入が多いことになる。

 健康を害して働けない人ならともかく、働く能力があるのに職が見つからないという理由で働かない人が平均的勤労者より手取り額が多いのは、明らかに間違いだ。自衛隊の定員不足や介護要員の不足のニュースを聞くたびに疑問に思う。これでは誰も働かなくなる。各役所が「弱者救済、格差是正」を金科玉条にバラバラに優遇措置をつけるせいでは?

週刊朝日 2015年6月12日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。2013年7月の参院選で初当選。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)

   藤巻健史 をもっと見る
このエントリーをはてなブックマークに追加