FIFA総会であいさつするブラッター会長 (c)朝日新聞社 @@写禁
FIFA総会であいさつするブラッター会長 (c)朝日新聞社 @@写禁

 かねて腐敗が指摘されてきた国際サッカー連盟(FIFA)に、ついに捜査のメスが入った。現職の副会長2人を含む幹部ら7人が贈収賄容疑で、スイス・チューリヒで逮捕されたのだ。

 サッカーW杯は、世界最大のスポーツイベントといわれ、巨額の放送権料などビッグマネーが動くことで知られる。FIFAの2011年から14年の収入は約6800億円に上り、その8割強をW杯が稼ぎ出した。

 スイス司法当局の発表によると、7人は1990年代初めから現在までに、サッカーの大会に関する放送や広告の権利と引き換えに企業から多額の賄賂を受け取ってきた疑いがある。さらに米司法省によると、前出の7人を含む、FIFA関係者9人と5人の企業役員が汚職やマネーロンダリング(資金洗浄)に関与し、その金額は10年に南アフリカで開かれたW杯の招致を巡る贈収賄などを含め約185億円にも上るとしている。

 また、18年と22年のW杯開催国は10年に2大会を同時に選出するという異例の形で、18年がロシアに、22年がカタールに決まった。こちらもすでにFIFAから資料を押収し、捜査を開始しているという。

 今後、捜査が広がれば、02年に韓国と共催し、22年W杯にも立候補していた日本としてはひとごとでない。だが、元FIFA理事で日本サッカー協会(JFA)名誉会長の小倉純二氏は、招致活動で高額な金銭の授受がなかったことを強調する。

「02年は(最後まで)韓国との一騎打ちになったが、収支も公に出ているし、(不正に)使えるお金はなかった。22年大会についても、(外交儀礼の)お土産を渡しただけ。日本が(司法当局などに)呼び出されることはありえない」

 18、22年の両W杯についてFIFAは、現時点で開催地の変更はないと明言しているものの、不正の疑念は拭えないだけに、このまま容認されるかは疑問が残る。改革が求められるなか、5月29日の会長選では現職のブラッター会長が再選。だが、スポンサーからも不満の声が出ており、捜査の進展次第では代替案が浮上しても不思議ではない。東京五輪の後押しで、22年W杯の日本開催を望む声が一部に上がっている。とはいえ、残念ながら当初立候補していた米国やオーストラリアに比べても日本の人気はそう高くない。悲願のW杯単独開催への道のりはそう容易(たやす)くはなさそうだ。

週刊朝日 2015年6月12日号