最も有名なゆるキャラのひとつ「ふなっしー」が、千葉県船橋市非公認キャラであることはよく知られている。そんな船橋市の公認キャラが、「ふなばし産品ブランド」をPRする、「目利き番頭 船えもん」である。

 誕生は2012年6月。

「よく言われるんです、ふなっしーに対抗して作ったんですか?と」

 船橋市商工振興課ふなばし観光・ブランド創造室室長の笹井久光さんが言う。ふなっしーが本格的に人気が出たのは13年になってから。メジャーな活動では、ちょっとお兄さんである。

「船えもんはしゃべれないので、トークを担当する女性マネジャーがいます。その点では、おしゃべりが得意なふなっしーは、うらやましいですね(笑)」

 と、笹井さん。

 船橋沖は、江戸時代に徳川家の「御菜浦(おさいのうら)」として魚や貝を献上した豊かな漁場で、船えもんは江戸時代の船橋宿からやってきたそうだ。

 
 ヘアスタイルは、「舟」の字をイメージしたもので、ちょっとのび太っぽいロイドメガネには、「船橋のええもんを見極める」意味が込められている。

 笹井さんの名刺には、しっかり船えもんが印刷されている。船橋の街中はもちろん、市役所内にも船えもんとふなっしーの姿があちこちに見られる。公認非公認キャラが、仲良く共存しているようだ。

「13年10月には、市長からふなっしーに感謝状を贈呈しており、市としても大変感謝しています」

 と、笹井さんは言う。

「船橋といえば梨、というイメージを広めてもらえましたし、ライバルとしてではなく、一緒に船橋を盛り上げていく仲間です」

 昨年5月のイベントではふなっしーとタッグを組み、北海道代表のメロン&ゾンベアーペアとプロレス対戦した。

 激闘の末、ふなっしーの体当たりが決まり、船橋ペアの勝利。息ぴったりの名コンビだったそうである。

(太田サトル)

週刊朝日 2015年6月5日号