開幕以来、海外勢に3連勝された今シーズンの男子ゴルフツアー。なぜ国内勢は勝てないのか。その敗因をプロゴルファーの丸山茂樹氏が分析する。

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 今シーズンの国内男子メジャー第1戦となった日本プロゴルフ選手権日清カップヌードル杯(5月14~17日、埼玉・太平洋クラブ江南)で、テレビのお仕事をさせてもらいました。

 最終日は2位に6打差の17アンダーでスタートしたオーストラリアのアダム・ブランド(32)がそのまま優勝したんですけど、正直グダグダの試合内容でした。

 この日、僕はゲストラウンド解説でブランド、岩田寛(34)、川村昌弘(21)の最終組について回ったんですけど、ブランドを追いかける選手がいない。時折強い風が吹いてましたけど、それ以外のコンディションは3日目までと一緒のはず。3日目までは誰かが爆発的なスコアを出してきたんですけど、肝心の最終日に猛チャージをかけられる選手がいなかった。これは残念でしたね。

 ブランド自身もさえない。前半なんてほとんどパーオンしませんでしたから。「どうなってるんだろう」と思いましたね。コメントに困っちゃって。正直言って難しかったです。

 
 これで今シーズンの国内男子ツアーは、開幕から外国人選手が3連勝。日本選手にとって過去「最悪」の1995年に並んだんですってね。その要因として、「日本にやってくる海外勢のレベルがこれまでより上がってる」と言う人がいます。僕はそうは感じてないんですよね。

 やっぱりね、間延びしちゃってるんですよ。開幕戦が4月16日からですからね。昨シーズンの最終戦「日本シリーズJT杯」が12月7日まで。大半の日本選手は11月いっぱいでシーズンが終わっちゃってるんですね。そこから4カ月半もトーナメントがない。

 日本ツアーの開幕前からアジアツアーなんかを回ってる海外勢の方が、確かにこの段階では早く仕上がってるんです。だけど、この先はどんどん日本勢が上にくると思うんですよね。

 開幕戦が4月中旬というのは、男子ツアーの試合数が減少傾向という現状があります。最終戦の時期は動かせませんから、何週間も試合がない状況をつくらないためには、最初を遅らせるしかないじゃないですか。それで4月中旬になっちゃってるんです。

 3月だとまだ寒かったりするから、4月中旬ってのはかえって暖かくていいのかな、なんて思ってたんですけどね。現場の声を聞いてると、なかなか感じが出ないみたいですね、試合の中で。エンジンのかかりが遅い、と。なかなか難しい問題ですよ。

 話は変わりますけど、この試合で日本勢最高の3位に入った藤本佳則(25)が、最終日の18番のティーショットで、左へ大きく曲げました。彼が言うには、ダウンスイングに入ったところで「突風が吹いたけど、止められなかった」と。あるんです、こういうアクシデントが。

 僕が米PGAツアーに参戦してたときに一番やられたのが、車の盗難防止のサイレンですね。ギャラリーの駐車場の車から「ファーン、ファーン」って、とんでもない大音量が襲ってくる。虫も大敵です。インパクトの少し手前で、ボールにハチが止まる。スイングがトップに入ったときに、小さい虫が「ブーン」と耳の中に入ってくる……。

 自然との闘いですからね。藤本の突風も「ゴルフあるある」の一つです。

週刊朝日 2015年6月5日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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