警蹕(けいひつ)の声と雅楽の音が響き、神職が本殿の扉を閉じる。遷座祭がつつがなく執り行われた(撮影/写真部・馬場岳人)
警蹕(けいひつ)の声と雅楽の音が響き、神職が本殿の扉を閉じる。遷座祭がつつがなく執り行われた(撮影/写真部・馬場岳人)
参進する黒い斎服の宮司以下、奉仕者の列が続く。鮮やかな赤や青、そして白い装束や、一つひとつの細やかな所作が平安朝の伝統を今に受け継ぐ(撮影/写真部・馬場岳人)
参進する黒い斎服の宮司以下、奉仕者の列が続く。鮮やかな赤や青、そして白い装束や、一つひとつの細やかな所作が平安朝の伝統を今に受け継ぐ(撮影/写真部・馬場岳人)

「オー」。雅楽の演奏が静かに流れる中、神職が警蹕(けいひつ)と呼ばれる声を発すると、仮殿のご神体と神宝が新しくなった本殿に遷(うつ)された。式年遷宮の最重要神事「遷座祭」が行われた。

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 式年遷宮とは定められた年に社殿を新しくする祭儀。下鴨神社は、1863年の孝明天皇の命で21年に1度と定められた。

 なぜ式年遷宮を行うかは諸説ある。

 下鴨神社には生まれ変わる、新しくなることを意味する「御生(みあれ)」という思想が受け継がれ、常に清らかであるために式年遷宮が斎行されるという。ただ、下鴨神社は社殿の多くが国宝・重要文化財に指定されており造替ができないので、社殿の大修理などにとどまっている。

 下鴨神社の正式名は賀茂御祖(みおや)神社で、かつては上賀茂神社[賀茂別雷(わけいかづち)神社]と一社。京都最古の神社として信仰されている。

 10月には上賀茂神社でも遷座祭がある。2012年に始まった下鴨神社と、上賀茂神社の式年遷宮が大きな区切りを迎える。

週刊朝日 2015年5月29日号