日本の財政赤字を解消する「インフレタックス」って何? (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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日本の財政赤字を解消する「インフレタックス」って何?

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

2015年度当初予算が成立し、各党へのあいさつに向かう安倍晋三首相と麻生太郎財務相 (c)朝日新聞社 

2015年度当初予算が成立し、各党へのあいさつに向かう安倍晋三首相と麻生太郎財務相 (c)朝日新聞社 

「これだけ累積赤字がたまってしまったからには、政府が取る道はインフレしかない。アベノミクスの第1の矢、量的緩和はそれこそインフレ導入政策だ。しかし、ブレーキがないからハイパーインフレという超重税時代に突入してしまうだろう」というのが、何度も書いてきた私の主張だ。

(過激な例で恐縮だが)1千万円の借金をしている個人タクシーの運転手さん(債務者)は、タクシー初乗り100万円になれば借金返済がいとも簡単になるのに対し、汗水たらして10年間で1千万円貯金した人(債権者)は、タクシーに10回乗るとパーになる。

 インフレとは債権者から債務者への富の移行なのだ。今の日本で債権者は国民、最大の借金王は国だ。インフレとは国民から国への富の移行という意味で税金と同じだ。したがってインフレとは税金という形をとらないものの、実質は税金と同じなので、よくインフレタックスと呼ばれる。

 日経の「大機小機」によれば、どうやら、経済の動きに一番センシティブな市場関係者たちも「異次元の量的緩和は、実は財政再建策なのだ」と気がつき始めたようだ。問題は、穏やかな財政再建策(=穏やかなインフレ、穏やかな課税)なのか、過激な財政再建策(=ハイパーインフレ、とんでもないほどの重課税)なのか、だ。

 過去、お金をジャブジャブにした国で、ハイパーインフレを回避できた国はない。ブレーキが見つかっていないからだ。だから私は黒田日銀総裁に何度も「出口戦略」をお聞きしているが、あいかわらず「時期尚早」のお答えばかりだ。

 こんなに累積赤字がたまっているのに史上最大の歳出予算が組まれた。政府には財政に対する危機感がないのか? それとも「いったん、ばらまいても、ハイパーインフレですぐ回収してしまうのだから、ちょっとの期間だけ喜ばせておいてやろう」と考えているのか? そう考えるのはあまりに下司の勘繰りか?

週刊朝日  2015年5月22日号


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藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務めた。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)、新著「日銀破綻」(幻冬舎)も発売中

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