「これまでコメンテーターの人選はプロデューサーの専権事項で番組ごとに契約していたが、それを会社で一括管理し、発言についてもチェックするという方向と聞いている。コメンテーターの中には『言論統制じゃないか』と不満を漏らしている人もいます」

 古賀発言についても、菅官房長官が「放送法という法律があるので、まずテレビ局がどう対応されるかを見守りたい」と会見で述べるなど、政権は放送法をチラつかせている。上智大学の音好宏教授(メディア論)がこう語る。

「放送法は『報道は事実をまげないですること』と定めているが、これは倫理的規定であるというのが研究者、識者の通説。そうしないと、この規定が表現の自由を保障した憲法21条との関係で齟齬をきたすからだ。放送行政に詳しい与党議員もそれはわかっているはずで、放送法を口にするのはパフォーマンスでしょう。ただ、圧倒的な議席を持つ政権与党に言われれば放送経営者は萎縮し、現場もそれを忖度してしまう」

 実際、「報ステ」の関係者は口ぐちに揺れる思いを口にした。

「古賀発言は介入の隙を与えてしまった。自民党に『あの問題は解決してない』などと今後も言われ、ことあるごとに圧力をかけられると思う」(関係者A)

「古賀さんの騒動は一種の“自爆テロ”。騒がれて世論がなびくと困るので、介入してきた」(同B)

 言論の自由を真剣に考える時が来ている。

(今西憲之/本誌・小泉耕平)

週刊朝日 2015年5月22日号より抜粋