パッと見は白いウーパールーパー。腹部に卵のようなものがびっしり、焦点の定まらない目つきが不安をさらにかきたてる。

 実はこれ、「ホッキ貝のにぎり寿司」をキャラ化したもの。ボディーがネタでおなかがシャリ。名前はそれをもじった「ずーしーほっきー」。

 ずーしーほっきーは、2006年の合併で函館市の隣に誕生した、北斗市の公式キャラクター。16年春に北海道新幹線が開業するが、

「新駅ができる北斗市をPRしていくため、ご当地キャラクターの制作を考えました。ホッキ貝は北斗市の特産品なんです」

 と北斗市企画財政課は言う。13年春、情報系の大学、公立はこだて未来大学に市が依頼した。

 当時の3年生12人を中心にプロジェクトが組まれ、木村健一教授と安井重哉准教授が指導した。フィールドワークで市の魅力を学び、全国の人気キャラたちの魅力を分析。地元の小学生とのワークショップで出た小学生目線での地元への思い入れを参考にした結果生まれたのが、ずーしーほっきーである。

 約60の候補から五つに絞り込まれ、市民による投票で、ずーしーほっきーが1位に選ばれた。安井准教授は言う。

「当て馬的な存在だと思っていたんです(笑)。他の四つは比較的カワイイ系で、ずーしーほっきーも、最初はもっとつぶらな瞳だったんですよ」

 キャラがかぶらないようインパクトを持たせた結果、なんともいえない表情のキャラが誕生した。ネットなどでも「衝撃的」「キモすぎる」といった反響があった。安井准教授は言う。

「学生たちは、どういうかたちであれ話題になったことを喜んでいましたね」

 北斗市の企画財政課では、

「一目見たら忘れられない記憶に残る造形で、効果的に知名度を高めてくれました。市長も、『心の感謝状を贈りたい』と喜んでいます」

 と言う。

 来年の新幹線開業に向けて、ますます暗躍(?)しそうである。

週刊朝日 2015年5月8-15日号