大型観光バスが列をなす銀座(撮影/写真部・工藤隆太郎)
大型観光バスが列をなす銀座(撮影/写真部・工藤隆太郎)

 平日の午後、東京・銀座の中央通り沿いにある家電量販店前。10台ほどの大型観光バスが列をなして止まると、歩道は大きな紙袋を手にした人、店に入ろうとする人でごった返す。

 大きな段ボールを抱えて店から出てきた、中国人ガイドの男性(30代)が、息を弾ませながら言う。

「四川省からツアーで来ました。お客さんに頼まれて温水洗浄便座(定価約4万円)を買いました。中国で買うと2倍もするんです」

 家電量販店前で、観光客は2時間ほどのフリータイムが与えられ、百貨店や、ファストファッション、ドラッグストア、ブランド店などをひと回りする。

 日本政府観光局(JNTO)によると、2014年1年間に日本を訪れた外国人観光客は2年連続で1千万人を超え1341万人。パッケージツアーの参加費を含める旅行の消費額、つまり日本国内に落とされたお金は、前年と比べて43.1%増の2兆278億円にもなった。14年度の国の予算(一般会計)95兆円の2%に及ぶほどだ。

 JTB総合研究所の太田正隆主席研究員が言う。

「13年に初めて1千万人の大台に乗ったのは、円安の効果が大きい。また、東南アジアの国々では、可処分所得が増えて豊かになり、ビザが緩和されたことも重なり、旅行をしようという機運につながった」

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