6月には、北海道から宮崎県まで17道府県の約40のワイナリーが参加する第1回「日本ワインMATSURI祭」が東京都江東区の豊洲公園で開かれる。これだけのワイナリーが一堂にそろうのは初めてだという。日本ワイナリー協会の横山清理事長は、ブームの背景をこう話す。

「13年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、日本の食文化への関心が高まりました。追い風を受けて、世界的なソムリエや評論家の注目を集めているのが日本ワインです」

 冒頭のように、若い造り手が登場し、ワインの生産者と飲み手が交流するイベントも、各地で近年増えている。

 そうした場所に集まる人々が、今の日本ワイン界の独特の雰囲気を象徴する。

「どれがよかった?」
「今年のあそこの赤はいい」

 参加者は顔なじみが多いのか、あちこちで会話が弾む。ワイナリーのスタッフと親しげにワイン談議に花を咲かせ、記念撮影に興じる。会場は“日本ワインサロン”といった風情だ。

 畑や醸造の話を深く知ることで飲み手はただの“消費者”ではなくなり、生産者は熱心な飲み手に支えられて品質の向上に力を注ぐ、好循環が生まれている。

週刊朝日 2015年5月1日号より抜粋