「国語、算数、理科、社会すべてに考えさせる問題を出します。初めてみるような問題を出し、その場で考える能力をみたいのです。特に国語は、物語と評論あわせて8千字くらいの文章を読み、すべて『説明しなさい』という設問で、答えを書かせます」
今年の国語の入試問題を手に取ってみた。たしかに文章が長く、設問となった物語は10ページにもわたっている。読書好きの生徒にはいいが、読書が苦手な生徒は読むだけで苦労しそうだ。
「ですから、入学する生徒はみんな読書好きです」
と前澤教諭が笑う。
同校の英語への取り組みもその延長にある。英語図書の多読と多聴だ。2004年から始まったこの経緯を英語科の高見信子教諭がこう話す。
「これからの時代に、今までの英語教育でいいのか議論を重ね、新しい教育方法に切り替えることを決断しました。そして、始めたのが多読・多聴とオールイングリッシュの授業です」
同校のLLライブラリーには1万8千冊もの英語の図書がある。驚くのは一冊一冊に「5千語」「1万語」などと語数が書いてあることだ。英語科の教員で分担し、何年もかけて地道に語数を数えていったのだという。この語数を目安にして、中1の最初は幼児が読む「数十語」の絵本から入り、次第に語数が多いものへと読み進めていく。読んだ本は語数と感想とともにブックダイアリーに記録する。
「中学3年間の目標語数は100万語で、平均は89万語です。トップの生徒は400万語読んでいます。多読とオールイングリッシュによって、英語を英語で理解するようになり、以前見られたような奇妙な英文和訳がなくなり、生徒たちの英語力が飛躍的に伸びました。高2・高3は精読で英語力を鍛えます」(高見教諭)
このLLライブラリーには、毎週のように、全国の学校から見学者が訪れるという。
グローバル大学には、やはりグローバル教育が充実した高校から多くの生徒たちが進んでいた。彼らの中から、世界を舞台に活躍するグローバルリーダーが育つことを期待したい。
◇グローバル5大学合格者数トップ30
学校名(所在地)/合格者数合計/早稲田大国際教養/上智大国際教養/国際教養大/国際基督教大/立命館アジア太平洋大
1 ○国際基督教大(東京)/35/4/21/―/9/1
2 ○女子学院(東京)/26/17/―/―/9/―
3 ○鷗友学園女子(東京)/23/9/―/1/12/1
4 ○渋谷教育学園渋谷(東京)/22/9/―/1/7/5
5 国際(東京)/20/1/11/3 /4/1
6 千葉・県立(千葉)/19/11 /―/1/7/―
◇東京学芸大附(東京)/19/13/―/1/5/―
湘南(神奈川)/19/12/―/3/4/―
9 ○渋谷教育学園幕張(千葉)/17/9/1/―/7/―
10 日比谷(東京)/15/10/―/3/―/2
○麻布(東京)/15/11/―/1/3/―
○開成(東京)/15/10/―/1/3/1
各大学が公表した合格者数を掲載した。ただし、国際基督教大は3人以上の合格者のあった高校のみ。推薦入試などの合格者を含んでいないことがある。
◇=国立、○=私立、無印は公立を表す。協力・大学通信
13位から30位までは本誌で。
(庄村敦子)
※週刊朝日 2015年5月1日号より抜粋