「サッカー部は部員が多く、誰もが試合に出られるわけではないけれど、それでもチーム一体となり、試合に出られない選手もスタンドから一生懸命に応援する良さがあった。それが李監督になって、変わってしまったんです」
部員の保護者には、Jリーグの現役監督や著名なミュージシャンもいる。彼らの一部が李監督の指導方針や「パワハラ」に対する説明を求めるため、緊急父母会を要請。それを受けて3月28日に平岩敬一理事長やサッカー部の部長、李監督らと保護者との話し合いの場があった。出席した保護者によると、「大紛糾だった」。本誌はその詳細な様子を知ることができた。
サッカー部の部長が、
「李監督のほうから選手にかける言葉(の問題)は事実としてあります。申し訳ございませんでした。ただ、李監督は悪意を持ってやっているわけではありません。同じ『バカヤロー』という言葉でも、悪意のある『バカヤロー』とそうでない『バカヤロー』があります」
と謝罪すると、保護者が、
「何を謝っているのか」
と追及し、部長が、
「監督の言葉です。『オレの教えをいくらで買う』『お前誰に習ったんだ』『お前は出ていけ』など……」
と言う場面もあった。李監督や平岩理事長も謝罪。出席した保護者が言う。
「保護者会はまるで謝罪会見のようでした」
李監督を直撃し、「パワハラ」について聞くと、
「パワハラじゃないと思うよ。話は学校に聞いてください」
学校に質問状を出すと、平岩理事長から電話があった。
「パワハラと認めて謝罪していることはありません。監督が話したことと趣旨が違うことを断片的にとらえて理解されている。ただ、そういう言われ方をすることについては、李監督に厳しく注意しました。それ以後はそういうことはないと聞いてます」
子供を預ける保護者たちが感じる危機感と、監督への注意という対応には、まだ温度差がある。保護者たちは、今後も学校と話し合いを続けていくという。
(本誌取材班=山内リカ、上田耕司、福田雄一/黒田 朔)