妻は一流大学を卒業して大手企業に勤めるキャリアウーマン。Cさんより学歴も収入も勝っていた。それでもCさんの年収は600万円以上で、決して少なくはない。

「それでも妻には不満だったらしく、ついに私の母を呼び出し、『あなたの息子は教養も学歴もなく、話をしても埒が明かない。あなたの育て方が悪かったから』と言い放ったのを見て、別れを決意しました」

 離婚後もCさんは毎月収入の半分を超える多額の養育費の支払いを余儀なくされ、今は風呂なしのアパートで暮らす。それでも最愛の娘に会わせてもらえない。

 こうした「モラハラ」はタレントの高橋ジョージ・三船美佳夫妻の離婚騒動でも話題となった。夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美さんは「モラハラは身体的な暴力とならないDVの一種であり、相手を支配しコントロールしようとする根底は同じ。しかしモラハラを規制する法律がないため、裁判などでは単なる夫婦げんかの延長とみなされることが多い」と話す。

 DV妻を矯正させる方法はあるのか。池内さんは「残念ながら、ほぼ不可能」と見ている。

「禁煙や禁酒と同じで、本人にやめようという強い意志が不可欠。しかし現実には『悪いのは夫』と思っているので、罪の意識や自覚がないんです」

 森法律事務所の森元みのり弁護士も、

「離婚しか解決の道がないことがほとんどだが、DV妻は離婚を承諾することは少なく、調停や裁判に持ち込まれがち。しかし妻の暴力が離婚原因として認められることは難しく、一筋縄ではいきません」

週刊朝日 2015年4月17日号より抜粋