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 大企業を中心にベア旋風が吹いた今年の春闘に、安倍首相はさぞやほくそ笑んだに違いない。だが、厚生労働省が3日発表した2月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の変動を考慮した実質賃金は22カ月連続でマイナスとなった。

「結局、昨年度は前年度比でマイナス2.4%となった模様。その原因は消費税の引き上げにあった。円安に伴う輸入物価の上昇に消費増税が追い打ちをかけ、むしろ庶民の賃金は大きく目減りしました」

 こう語るのは、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長だ。一般庶民の懐は寒いままなのだ。

 経済評論家の山口正洋氏も、「消費税の影響はけっして軽微ではない」とかねて指摘してきた一人。

「増税すれば、GDPの60%を占める個人消費が低迷し、日本経済が悪くなるのは必至。安倍政権もそれを予期したからこそ、公共投資増大という政策を打った。しかし、そんな手でよくなるのは不動産と建設だけ。金融緩和にしても、20年以上も続けて成果が出なかった。にもかかわらず、効き目のない薬を大量投与すれば治るというのは、極めてナンセンス」

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