田原総一朗「廃炉決定でも解決しない『場当たり主義』の原発政策」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

田原総一朗「廃炉決定でも解決しない『場当たり主義』の原発政策」

連載「ギロン堂」

このエントリーをはてなブックマークに追加
※イメージ写真 

※イメージ写真 

 小泉純一郎元首相は、2013年8月にフィンランドのオルキルオト島にあるオンカロを視察した。オンカロは使用済み核燃料の最終処分場で、地下400メートル以上深く掘った施設である。そこに保管されている核燃料が無害化するのに10万年以上かかると知り、小泉元首相は、「原発はだめだ。即時やめるべきだ」と主張したのであった。

 だが、たとえ原発を止めたとしても、すでに日本には使用済み核燃料が1万7千トンたまっているのである。これをどうやって処分すればよいのか。小泉元首相は、この問題については発言していない。

 00年10月、使用済み核燃料を最終処分するために、原子力発電環境整備機構(NUMO)が設立された。07年には、最終処分場候補地として、高知県東洋町の町長が手を挙げたのだが、東洋町の住民などの反対で撤回され、その後どこからも手が挙がらないままである。NUMOが現在、具体的にどんな活動を行っているのかも国民はさっぱりわからない。

 つまり、原子炉を廃炉にしても使用済み核燃料をどうするのか、まったく見当がついていないのである。原発はスタートした時点から「トイレのないマンション」だと称されていたが、現在もそのままで、トイレづくりに動いている様子もない。

 総合戦略のなさの見本が、昨年4月に政府が発表した「エネルギー基本計画」だ。

 エネルギー基本計画ならば、当然ながら総電力の内訳、つまり原発、石炭、石油、液化天然ガス(LNG)、そして太陽光や風力、地熱など再生可能エネルギーをそれぞれ何%にするのか示さなければならないはずだが、基本計画と言いながらそれらの具体的な数字が全く入っていないのである。

 実は、非公式の形では数字は出されていて、30年に原発は20~25%となっているのだが、これを公表すると大きな問題になってしまう。40年廃炉制度だと、原発をすべて再稼働させても30年に15%にも達しないため、40年以上運転させるか、原発を新設しなければならないのである。

週刊朝日 2015年4月3日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい