※イメージ写真 @@写禁
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 都内在住のO君(24)は昔から変わり者と縁がある。

 奈良県に住む高校の友人T君もそのひとり。現在関西の私立大学7年生で、授業の合間に傘立て二つで寝台を作って寝たり、ボロボロのパジャマ姿で授業を受けたりと、奇行を挙げればきりがない。そんなT君からある日、

「コミケに行きたいから家に泊めてほしい」

 と連絡が来た。

 東京ビッグサイトで開かれるコミックマーケットは、年間100万人以上を動員する。しかし、O君は不思議に感じた。今まで、T君からマンガやアニメの話を聞いたことがないのである。しかしO君、

「まあ、最近好きになったんだろう」

 と思ってはいた。

 当日となり、コミケから帰ってきた夜、

「社会勉強になったよ」

 と、T君はご満悦。

「コスプレの写真もずいぶん撮ってさ」

 と、カメラを取り出す。

 しかし、撮影した写真を見てO君は驚愕する。それはセクシーなコスプレーヤーではなく、彼女たちを写真に撮ろうとするオタクの写真ばかりだった。

「どうしてかな、コスプレ女子に群がるオタクは、チェックが多いんだよ」

 たしかに写っている彼らの服装はチェック、チェック、チェック……。超高画質カメラのため、鋭い眼光、脇の汗染み、顔のテカリもはっきりとわかる。

「ローアングルを狙うオタクが多いね。地面に寝そべって撮ったりしてたよ」

 写っているコスプレ女子は背中ばかり。ピントが合っているのは背中越しのオタクばかり。なんと100枚以上も撮っていた。

「最初は女の子狙いだったけど、どう考えてもこっちのほうがおもしろいやん?」

 とT君。ちなみにT君は立派な女好きでもある。

「ああ、やっぱ、こいつすごい変わってるわ」

 と感服したO君だった。

週刊朝日 2015年4月3日号