早稲田高校(撮影/写真部・岡田晃奈)
早稲田高校(撮影/写真部・岡田晃奈)

 難関私学の両雄、早大と慶大。国公立難関との併願で両大学の合格者を毎年多く出す常連校がある一方、近年、合格者の数を大幅に伸ばした高校もある。2005~15年の10年間で早大・慶大の合格者数を伸ばした学校をランキングにした。

 まず目につくのは、ほぼ首都圏の学校でランキングが占められていることだ。例外は慶大で30位に入った洛星(京都)だけ。

 理由としては、昨今の受験生の“地元志向”と“安全志向”があるという。大学通信ゼネラルマネージャーの安田賢治さんは、

「わざわざ東京まで来ないのです。早大・慶大レベルの学力があったら受験生は地元の国立大を志望するし、浪人もしたくないというので滑り止めは地元の私大に流れる」

 と分析する。

 この上昇ランキングで、早大1位、慶大で2位という突出した“上昇”を見せたのが、本郷だ。慶大では10年間で61人、早大では100人も合格者数を増やしている。

「特進コースを設置したことがきっかけでしょうか」

 こう話すのは、同校の本多照之進路指導部長だ。

 同校は02年に東大、京大、東工大、一橋大を目指す「特別進学(特進)コース」を設置し、進学校として舵を切った。早大合格者数は10年に初めて100人を超え、上昇傾向が続いている。

「この生徒たちが結果を出したことで、いわば牽引役となり、学年全体でも難関大の実績が出るようになりました」

 と本多部長。

「伝統の文武両道を大事にしつつ、東大合格者数を2けたにするのも目標のひとつです」

 慶大の合格者数上昇ランキングのトップは、79人増の早稲田だった。

 慶大ランキングで早稲田高校が首位とは、不思議に感じるかもしれない。早稲田は1979年に早大の系属校となり、現在は卒業生の約2分の1が早大へ進学する。その一方で、国公立大や医学部系など他大学に進学する生徒も多い。

 大学通信の安田さんは、

「13年から翌年にかけて東大合格者も倍増させるなど実績を伸ばしている。併願が多い慶大でも大きく伸ばしたのでしょう」

週刊朝日 2015年3月27日号より抜粋