“右肘靭帯の部分断裂”と聞いて思い出されるのは昨季のマー君(ヤンキース・田中将大投手)。同じ故障だったが、マー君は手術せず、保存療法でケアしてシーズン終盤に復帰した。

「故障の程度に差があるのでしょうが、2人の対応の違いは“焦り”の有無からでは」と前出ベテラン記者は語る。

「メジャーで3季過ごしたダルは通算39勝25敗で防御率3.27。オールスターにも3年連続で選ばれ、立派な実績を残していて余裕がある。一方、去年のマー君はメジャー1年目。故障するまですごい活躍はしたものの、途中で戦線離脱。チームは金満ヤンキース。のんびりリハビリしてたら、チームは代わりの投手をどんどん獲って戻る椅子がなくなるかもしれない……。2人の気持ちに相当な違いがあるはず」

 マー君はメジャー2年目の今季、「順調に調整中」と報じられているが、

「また故障するんじゃないか?と不安視してます。メジャー時代の松坂(大輔)が結局、同じパターンで手術をすることになりましたから」(前出ベテラン記者)

 ダルが手術を決断したポイントはまさにそこだ。「手術せずに今季中に復帰して投げて靭帯が切れたら来季も投げられなくなる。そのリスクを避けた」というコメントは、いかにも彼らしかった。

週刊朝日  2015年3月27日号