東京都新宿区の国立競技場。かろうじて残っている電光掲示板だけが、唯一面影を偲ばせる(撮影/写真部・植田真紗美)
東京都新宿区の国立競技場。かろうじて残っている電光掲示板だけが、唯一面影を偲ばせる(撮影/写真部・植田真紗美)

 ゴーッという地響きのような音が鳴り、粉塵が舞い上がる。

 20台もの重機がスタンドを解体し、鉄くずがうずたかく積み上がった、東京都新宿区の国立競技場。かろうじて残っている電光掲示板だけが、唯一面影を偲ばせる。

 2020年の東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとして建て替えられる国立競技場で、解体工事が本格的に始まった。建設費の高騰による入札不調などで、計画から約半年遅れのスタート。にもかかわらず、当初、住民への説明で提示した予定より、3週間前倒しの9月中をめどに解体を完了させるという急ピッチの工事。10月からは新競技場の建設にも着工する予定だそうだ。

 日本スポーツ振興センターの高崎義孝さん(59)は、「30年ほど前から国立競技場に携わってきたので、正直寂しい気持ちもあります」と本音をのぞかせる。

 19年、ラグビーワールドカップの開幕戦がこけら落とし。スポーツで数々の名場面を生んだ、聖地の再来となるか。

週刊朝日 2015年3月20日号