※イメージ写真
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「北斗星」「トワイライト」二つの豪華寝台特急が、約25年の歴史に幕を下ろした。夜を徹し、走り続けた「星空列車」は、鉄道旅行の楽しさを多くの人へ届けた。3月12、13日。惜しまれながらのラストランを行った。

 青函トンネルが開通した1988年、寝台特急「北斗星」が華々しくデビューした。その翌年には、「トワイライトエクスプレス」も走り始め、豪華寝台列車の時代が幕を開けた。

 両列車は、個室やフランス料理のフルコースが楽しめる食堂車など、これまでの寝台特急の概念を打ち破る豪華編成が話題となった。

 当時、北海道への移動手段は短時間で行ける飛行機が一般的だったが、車窓からの移ろいゆく風景やゆったりとした時間など、鉄道旅行の素晴らしさを再認識させられた人も多く、一躍スターダムにのし上がった。

「北斗星」は上野─札幌間約1200キロを、16時間ほどで走る。かつて寝台特急「さくら」や「富士」が冠した栄光の列車番号「1レ」と時刻表に記されるのは、今ではほかならぬ「北斗星」だけ。伝統と貫禄を感じさせる最後のブルートレインだ。

 一方、「トワイライトエクスプレス」は大阪─札幌間約1500キロを、22時間かけ、走行する日本一の長距離列車だ。長距離を走るだけに、食堂車ではディナータイム、モーニングタイムの他に、下り(大阪─札幌)のみランチタイムの営業をしているのも特徴だ。サロンカーから見る、日本海に沈みゆく夕日の眺めは「トワイライト」の名にふさわしく壮観だ。

 この二つの列車を25年ほど撮り続けてきた。理由を聞かれると答えに窮するが、冬の雪煙を上げて疾走する姿、夏の夜明けの中を走る姿はとにかく格好がいい。それに、季節や時間、撮影場所が変わるだけで写真の出来栄えも変わる。気づけば、すっかりその姿に魅了されていた。

 もう撮れないと思うと、一抹の寂しさを覚える。

 ついに、フィナーレを迎えた二つの列車。上野と大阪から札幌へ、人々の思いをのせて走った。

(※北斗星は、8月までは臨時列車が運行。詳細は
https://www.jreast.co.jp/cassiopeia/hokutosei/time.html

週刊朝日 2015年3月20日号