※イメージ写真
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 細川護煕元首相と代表理事を務める一般社団法人「自然エネルギー推進会議」の発起人に名を連ねた小泉純一郎元首相が再始動する。原発再稼働元年とされる今年、地方から“乱”を起こすという。

 3月11日──。
 小泉氏は被災地・福島から本格始動した。同日、地域電力会社・会津電力(福島県喜多方市)の招きに応じ、喜多方市内で「日本の歩むべき道」と題した“脱原発”講演会を行い、怪気炎を上げた。

 福島第一原発の汚染水問題を安倍晋三首相らが「アンダーコントロール」と発言していることについて、「全然(コントロール)されてない。よくもああいうことが言えるなと思う」などと厳しく批判した。

 さらに関係者によると、初夏にはJパワー(電源開発)が建設中の大間原発(青森県大間町)を視察した後、一部が大間原発の30キロ圏内にある函館市を訪問するプランも持ち上がっているという。工藤寿樹函館市長は昨年、国とJパワーを相手取り、大間原発の建設中止を求めて東京地裁に提訴している人物だ。

「漁船を出して船から大間原発を視察した後、国やJパワーと勇敢に闘っている函館市長を激励に行くという計画です。小泉氏は『脱原発活動は3カ月に1回ぐらいでいい。印象的なタイミングを見計らってやるのがいい』という独自のスタンスを持っているので、3・11から約3カ月後の6月中旬から7月初めぐらいになるのではないか。次男の進次郎氏を自分が行きつけのイタリアンレストランに呼び、よく食事しているので、水面下で連携もあり得るかもしれない」(小泉氏周辺)

 大間原発視察の3カ月後の秋には、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に反対している泉田裕彦・新潟県知事を激励する計画も持ち上がっているという。

 泉田県知事は1月6日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を前提とした原子力規制委員会の審査状況を報告しに来た東電の広瀬直己社長に対し、「福島第一原発事故の原因究明、検証をしっかりやるのが先だ」と牽制。再稼働の議論に応じない姿勢を強調した。

「いま、国会でわが世の春を謳歌する安倍政権と闘う姿勢を示しているのは、函館市長と新潟県知事ぐらい。彼らをうまくバックアップできれば、地方の乱がさらに広がる可能性がある。昨年来、滋賀、沖縄、佐賀の県知事選で自民党が擁立した候補者は次々と敗北。背景にはトップダウンで国策をゴリ押ししてくる安倍政権に対し、地方の反発がある。小泉さんは安倍政権の弱点は地方とにらみ、『脱原発の包囲網』をジワジワと広げようとしている」(前出の関係者)

(本誌取材班)

週刊朝日 2015年3月20日号より抜粋