昨年9月、TBSを退社してフリーアナウンサーになった田中みな実さん。ブリッ子キャラで「嫌いな女子アナランキング」の常連に。作家・林真理子さんとの対談で自分をこう分析した。

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林:「ブリッ子」と言われたのは「サンデージャポン」が最初で、あの番組をきっかけにいじられ始めたという感じですか。

田中:そうです。潜在的にそういうところがあったのを制作者が見抜いて、これをデフォルメすればいけると思ったんじゃないでしょうか。

林:そのとき田中さん、「それでいいや」と思っちゃったんですか。

田中:自分で言うのもナンですが、私、けっこう器用なタイプなんです。才能どうこうではなく、「やって」と言われたことに対しての反射神経が悪いほうではなくて、うまくハマったということなんでしょうね。

林:なるほどね。

田中:そこからいろんな番組で「うちでもブリッ子やってよ」って言われてやっていくうちに、さんまさんの「スーパーからくりTV」で、それがさらに大きくなって。

林:でも、いろいろイヤなこともあったでしょう。本当のキャラクターじゃないのに「ブリッ子してるから嫌い」って言われたり。それも平気だったんですか。

田中:気にしないようにはしてたんですけど、たとえば両親と一緒に「からくりTV」を見てたりすると、気まずいですよね。申し訳ないなと思って、親と一緒に見るのがすごくイヤでした。

林:おじさんが読む変な週刊誌に、エッチなことを書かれたりするのはどうですか。

田中:エッチなことはもちろん書かれますし、電車で通勤してたら中吊り広告に「嫌いな女子アナ1位、田中みな実」って書かれてるんですよ。「今年も嫌われ者」「2年連続嫌われ者」とか。

林:でも、笑って「殿堂入りしたいです」と言ったでしょう。あっぱれですよ。

田中:林さん、よく見てくださっているんですね。

林:それに「好きな女子アナ」にも入ってるからいいじゃないですか。

田中:かろうじて食い込んでるんでしょうかね。

林:私もずっと、嫌いな文化人1位で、好きなほうにも上位で入っていたんですけど、トシとって全体的にかすんできたせいか、どっちも上位に上がんなくなっちゃって(笑)。

田中:嫌いって書かれるの、どうでした?

林:そりゃ、イヤですよ。私ってこんなに性格がいいのになんで、と思っちゃいましたよ、自分で(笑)。

田中:アハハハ。私は周りの人がわかってくれれば、それでいいと思ってました。

林:そうそう。

田中:むしろ「好感度ナンバーワン」とかのほうが、ハードルが上がっちゃって大変なんじゃないかと。「嫌いな女子アナ1位」だと、会ってふつうにお話ししたり挨拶したりするだけで「意外といい人なんだ」と思ってもらえるから、ラクだなと。

林:それにしてもあのランキング、基準がぜんぜんわからないですよね。

田中:わからないですよね。私の場合、「嫌い」って大きく書かれたときも、「サンデージャポン」という番組でおもしろがってもらえたんですよ。テリー伊藤さんに「嫌われ1位、やったね!」と言ってもらえたり、西川史子さんにいじってもらえたり。一人でウジウジすることもなかったので、すごく救われました。

週刊朝日 2015年3月20日号より抜粋