東日本大震災から4年 再エネ抑制策に海外からも異論 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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東日本大震災から4年 再エネ抑制策に海外からも異論

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 着々と原発回帰を進めている安倍政権。一方、原発回帰とワンセットで進みつつあるのが、太陽光や水力、地熱などの再生可能エネルギーへの締め付けである。

 経産省が新たに見直した、再エネの固定価格買い取り制度(FIT)の新ルールでは、これまで電力会社が再エネの発電事業者に出力抑制を無償で求められる限度としていた「年間30日」が「無制限」に変わった。

 この決定を受け、九電ら5電力会社は3月4日、出力抑制が最大で年間165日、抑制率は3~5割になるとの試算を公表した。再エネ発電事業者の経営が不安定になりかねず、再エネ普及のペースが下がることが危惧されている。

 出力抑制の根拠として電力業界や経産省が持ち出しているのが、電力の需給バランスの問題だ。火力や原子力と違って発電量が変動する再エネの導入が進み、電力の供給量が需要量を上回ると、電流の周波数が上昇し、電気機器の故障や停電の恐れがあるというのだ。ただ、海外の専門家は日本でのこうした議論に首をかしげている。3月5日、都内で開かれたメディア関係者との懇談会で、系統連系を専門として各国政府等にアドバイスをしている独エナジーノーティックス社のトム・ブラウン上級研究員はこう語った。

「変動する自然エネルギーの普及率が約20%まで進んだアイルランドで周波数の問題が最近指摘され始めたものの、設備の改良などで技術的に十分解決可能で、大きな問題になりませんでした。そもそも日本のような低い普及率(2.2%)で、そのような問題が起こるとは思えない。既存の広域連系線をもっと活用すれば、供給が需要を上回るということも回避できます」

 同会で自然エネルギー財団のトーマス・コーベリエル理事長も指摘した。

「ドイツなどでは再エネの優先給電のルールが確立していて、再エネの供給量が増えた時には、火力や原子力の出力を抑制して需給を調整している。日本では電力大手の利益を維持するために火力の出力抑制が不十分で、なにより原子力を優先している。わざわざ海外から高い値段で輸入した化石燃料を燃やして、得をするのは電力大手だけ。国民や政府は、なぜこんなことを許しているのでしょうか」

 原子力ムラを慮(おもんばか)り、安倍政権が電源構成の長期目標を示す「エネルギーのベストミックス」をなかなか示さないことにも、再エネ業界はいら立ちをつのらせている。再エネ関連メーカー幹部はこう不満を漏らした。

「原発再稼働するのなら、ベストミックスの電源構成計画をキチンと示すのが筋でしょう。だが、経産省は怖がって官邸に言いだせないようだ。宙ぶらりんの状態で締め付けが続けば、再エネメーカーは市場の試算ができず、金融機関から融資も受けられなくなる」 

(本誌取材班)

週刊朝日 2015年3月20日号より抜粋


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