自分だけのペン先に育っていく一生の相棒になる万年筆万年筆の銘品は「筆記具の完成形」。モデルチェンジもほとんどなく、古びることがないから、定期的にメンテナンスをしながら一生愛用できる品(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
自分だけのペン先に育っていく一生の相棒になる万年筆
万年筆の銘品は「筆記具の完成形」。モデルチェンジもほとんどなく、古びることがないから、定期的にメンテナンスをしながら一生愛用できる品(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
筆者私物の万年筆と筆入れ(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
筆者私物の万年筆と筆入れ(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
用途に合わせた字幅を選ぶ(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)
用途に合わせた字幅を選ぶ(撮影/外山亮一・スタジオ・テンフォー)

 週刊朝日で好評連載中の「美意識ある生活」。生活品評論家の東海左由留(とうかい・さゆる)さんが厳選したひと品を紹介している。東海さんは日本とヨーロッパで「生活をより豊かに」をテーマに様々なアイテムやサービス、ライフスタイルを取材。自腹で購入し、時間をかけて使用感を検証している。

【美意識ある生活 他の逸品はこちら】

 今回は、万年筆を紹介する。

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■信頼に足る人。そう思われる筆記具とは

 手書きのとき、もっぱら使うのは万年筆。紙の上を滑らかに走る感触が快い。私のような癖字でも、漢字やかな独特の、とめ・はね・はらいに表情が生まれて、人間味のある筆跡になるのがいい。というわけで、筆入れには字幅の違う3本を入れて常に持ち歩いている。

 数千円のカジュアル万年筆も気軽でいいのだが、やはり高級万年筆は書き味もたたずまいもエレガント。人前で字を書くときにモンブランのマイスターシュテュックだったりすると、「この人は信頼に足る(らしい)」と相手が感じ取っていると伝わってくることがよくある。

 ただし、万年筆は個体差のある筆記具。ゆえに、万年筆に詳しい人がいる店でしつこく試し書きをして選んだほうがいい。また、手帳に書き込む、手紙を書くなど用途をはっきり決め、それに合った字幅を選ぶと頻繁に使うようになる。長く使い続けると自分だけのペン先に育っていく。そこがまた大きな魅力。

<今日の逸品>
(右奥から)
パーカー デュオフォールド センテニアル(ラピスラズリGT) 8万円
ペリカン スーベレーン M800(グリーン×黒) 5万2000円
パイロット カスタム743 3万円
モンブラン マイスターシュテュック146 7万4000円
(すべて税別)
問い合わせ先:K.ITOYA

週刊朝日 2015年3月13日号