神奈川県川崎市の河川敷で中学1年生の上村(うえむら)遼太君(13)の全裸遺体が見つかった。

 凄惨なリンチの犠牲となった上村君は、1年半前に島根・隠岐諸島の西ノ島から川崎市内に越してきたばかりだった。

 バスケ部ではチームの司令塔的存在として活躍。ムードメーカー的な存在だった。5人きょうだいの次男で、高校生の兄と、小学生の妹が2人、弟が1人いる。上村君が5歳の時、家族はIターン就職で漁師を目指した父親とともに西ノ島に移住。数年前に両親が離婚すると、5人の子どもを引き取った母親は実家のあった川崎に夜行バスで帰郷したという。

「帰郷後の一家と食事をしましたが、上村君はなんでもある都会に来て、うれしそうだった。お小遣いをあげたらうれしそうに下の子供たちを連れて、コンビニのアイスやチョコレートを買っていた」(上村君の母親の川崎市内の友人)

 母親は昼はデイサービスのスタッフ、夜は飲食店のバイトをかけもちしながら家計を支えていたが、生活は楽ではなかったようだ。

「半年ほど前にデイサービスの事務所の前で何年かぶりに会ったけど、頬がゲッソリして、疲れて見えた。明るく活発だった学生時代とは別人のようでした」(母親の中学時代の後輩)

 育児に手が回りきらない面もあったのか。上村君は昨年12月頃からAのグループと付き合うようになり、公園やゲームセンターで一緒に遊ぶ姿が目撃されるようになった。

 1月からは学校を全欠。担任は母親に何度も電話したり自宅を訪問したりしたが、母親は「学校へは家の用事で行けない」などと答え、担任が上村君と話ができたのは事件の4日前だったという。上村君の同級生男子が証言する。

「上村君は年明けから学校に来なくなった。一人の時に見かけると、考え込むようにボーッとしていることがあった」

 主犯格とみられる少年A(18)らはなぜ最後の一線を越え、上村君の命を奪う凶行に及んでしまったのか。精神科医の町沢静夫氏がこう語る。

「一種の集団心理で、こういうグループでは残酷なことをする人ほど周囲からビックリされ、尊敬される。だから一層、残酷になっていく。加害者らが最初から殺意があったのか、わからないが、どんどんエスカレートしてしまったのではないでしょうか」

 今後、逮捕された3人の少年は、少年法下でどのように処遇されるのか。刑法に詳しい板倉宏弁護士がこう解説する。

「残忍な犯行なので家裁での少年審判後、逆送され、殺人罪で起訴されると思います。仮に少年に前歴があれば、刑期は15~25年前後になるのではないでしょうか。集団であればあるほど性質(たち)が悪いので罪は重くなります」

 どんな裁きが下っても、失われた命は戻らない。少年らの無軌道を止める術はなかったのだろうか。

(本誌取材班=小泉耕平、上田耕司、牧野めぐみ、福田雄一、小倉宏弥/今西憲之)

週刊朝日 2015年3月13日号より抜粋