ダイエットにも最適!
ダイエットにも最適!

 ブームとなっている香川県発の甘味「希少糖」。希少糖研究に関わる香川大学医学部教授・希少糖研究センター長の徳田雅明さんらは、カロリーがなく、そのほかにも内臓脂肪を抑える機能、食後の血糖値が上がるのを緩やかにする機能などを確認した。それを可能にしたのがD‐プシコースだ。

 具体的にみていこう。

 まずラットの研究から。5%のD‐プシコースを含むエサを与えたラットの内臓脂肪の蓄積量は、比較群(D‐プシコースなし群)の半分ほどでしかなかった。

 ヒトによる研究では、市販のゼリー飲料(約15%の希少糖が含まれるシロップ30グラム入り)を12週間とった群は、ふつうの砂糖でつくったゼリー飲料をとった群に比べて、平均で体重が1.8キロ、BMI(ボディー・マス・インデックス)が0.7、体脂肪率が1.7%減少していることがわかった。食後の血糖値への作用は、糖尿病予備群の人を対象に検証。D‐プシコースをとった群は、とらなかった群に比べ、血糖値の上昇が穏やかになった。

「これまでの研究から、D‐プシコースには消化酵素の働きを抑える機能などがあることがわかっています。炭水化物や砂糖などからブドウ糖ができるのを抑えたり、ブドウ糖を腸で吸収するのをじゃましたりすることで、内臓脂肪の蓄積や食後の血糖値によい影響を与えたのではないかと考えています」(同)

 今後の研究で、こうしたメカニズムがさらに解明されていくだろうが、今わかっている部分だけでも、炭水化物や甘いものをつい食べすぎる失敗を「なかったことにしてくれる」、まさに夢のような甘味料といえるだろう。

「ただ、希少糖は医薬品ではなく、あくまでも機能性をもつ食品の一つ。すべての人に作用するというわけではない。毎日の食事のなかに上手に取り入れて、生活習慣病の発症を予防することができればいいのでは」(同)

 そもそも、体によい作用をもたらす甘味料の開発に火が付いたのは、いまから30年ほど前。カロリーのとりすぎによる弊害が問題となり、一般の人たちの間に健康志向が強まったためだ。

 こうした機能性甘味料が次々に開発される背景について、糖質の開発や食品への応用事情に詳しい日本大学生物資源科学部生命化学科教授の春見隆文さんはこう解説する。

「日本はもともと天然のものを発酵させたり、酵素を用いたりして糖をつくる技術が優れています。そこに“ダイエットしたいけれど、甘いものも食べたい”“天然・自然で安全なものをとりたい”というニーズが合致し、研究開発が盛んになっていきました。さまざまな機能(健康効果など)や安全性を評価できるようになったことも、要因の一つだと思います」

 D‐プシコースの存在については、研究者の間では昔から知られていたそうだが、当時は「不純物の一つ」という扱いだったと、春見さんは言う。

「不要だと考えていた成分が実は体の役に立つものだったと。そこに機能性を見つけた逆転の発想がおもしろいと思います」

週刊朝日 2015年3月6日号より抜粋