氷柱見学場所近くの駐車場(有料)から徒歩5分。駐車場の隣にはカフェがあり、甘酒やみそおでんなどを販売。冷えた体を温めてくれる(撮影/写真部・東川哲也)
氷柱見学場所近くの駐車場(有料)から徒歩5分。駐車場の隣にはカフェがあり、甘酒やみそおでんなどを販売。冷えた体を温めてくれる(撮影/写真部・東川哲也)

 そろそろ梅祭りが開催されている街もある一方で、山間では寒波の度に伸びている氷柱も。岩清水の一滴一滴が生みだす氷の芸術は、まだまだ盛りです。

 荒川の源流が流れる埼玉県秩父市大滝の山間部。2月10日、厳しい寒さにもかかわらず、カメラを携えた観光客で賑わいを見せていた。お目当ては冬の厳寒期のみ姿を現す「三十槌の氷柱」である。「来るのは2度目。前回は7年前で、その時撮った写真をアメリカの友人に送ったら『凄い!』と喜んでいましたよ」と東京都から訪れた比留間すすむさん(74)は笑顔だ。

 幅約30メートル、高さ約8メートルの自然の造形美。氷柱ひとつは、直径1メートル以上、高さ3メートル以上という迫力満点の大きさである。岩清水が凍って伸びてきたもので、今冬は昨年12月半ば頃からだんだんと太く長く成長した。「例年は1月中旬~2月上旬が見頃ですが、ここ数日の寒波の影響で、再度最盛期を迎えています」と秩父観光協会大滝支部の行常一栄さんは話す。

 秩父三大氷柱に数えられ、他に「尾ノ内百景氷柱」「あしがくぼの氷柱」があるが、“天然モノ”はここだけ。秩父市役所大滝総合支所の黒澤淳さんも太鼓判を押す。「天然は透明度が高く、氷柱一本が太いんです」

 氷柱を鑑賞できる対岸は雪面が凍結しているため、滑りにくい靴は必須。軽アイゼンを持参すると、なお安心だ。標高400メートル、氷点下になることもあるので防寒対策もお忘れなく。

週刊朝日 2015年2月27日号