花粉症対策のカギは…(イメージ写真)
花粉症対策のカギは…(イメージ写真)

 花粉に悩む人々には憂うつな季節がやってきた。

 ちょっと意外だが、花粉症患者の約7割は花粉は発症のきっかけに過ぎず、それ以外の要素で症状が悪化している可能性がある。カギを握るのが“自律神経”だ。自律神経には交感神経と副交感神経があり、両者がシーソーのようにバランスをとりながら、体のさまざまな調整を図っている。副交感神経が優位になると、鼻炎症状が出やすい。

「熱いラーメンやソバを食べると鼻水が出る人も多いでしょう。これは胃が温まって副交感神経が優位になったためで、専門的には血管運動性鼻炎と言います。運動などをして交感神経が優位な状態にもっていけば、鼻水やくしゃみなどの症状は止まります」(アレルギー疾患の診療を専門とする日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科主任教授の大久保公裕医師)

 一般的に、花粉が飛んでいる時期に外に出ると症状がひどくなるため控えたほうがいいといわれるが、運動のため外に出るぶんには問題は少ない。ただし、運動後にリラックス状態になると副交感神経が優位になるため、症状が強まる可能性がある。それを防ぐためには、「運動が終わる少し前に抗ヒスタミン薬などを飲むとよい」と大久保さんは言う。

 さらに交感神経を優位にさせるためには、乾布摩擦や温熱法(手を伸ばし、力を入れて握る。握った手が温かくなったら力を緩める)がオススメ。避けたいのは昼食時に外出すること。花粉が舞っている時間帯におなかが満たされ副交感神経が優位になるため、花粉症による症状と、血管運動性鼻炎の症状がダブルで出る恐れがある。

「以前は年をとると免疫力が落ちて花粉症が改善するといわれていましたが、最近は花粉症を新たに発症するシニア層が少なくない。その多くは定年後にいろいろと趣味や運動を始めた方たちです。体を動かし、健康的な生活を送ることにより自分の免疫力がよみがえって、花粉症にかかってしまうのです」(同)

 運動は免疫力を高め、花粉症を誘発する一因であると同時に、交感神経を優位にして症状を抑える要素も併せ持つ。トータルで考えると、運動は続けたほうがいいようだ。花粉症はつらいが、免疫力が復活するのは健康な体である証拠。

「しかもそういう方は免疫療法などの治療によく反応して、症状が改善しやすい」(同)というから安心してほしい。

週刊朝日  2015年2月27日号より抜粋