シンガポールの成功の秘密は?
シンガポールの成功の秘密は?

 ホリエモンこと堀江貴文氏は、シンガポールが著しい経済発展を遂げることができた理由をこう分析する。

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 2014年にシンガポール・チャンギ国際空港を訪れた観光客が過去最高の5410万人になったそうだ。

 私もたまに訪れるシンガポール。日本の高い株式譲渡益課税などを嫌って、永住権をとって移住する富裕層が近年増えていることでも知られる。とくに7月に予定されている、海外移住時の株式などにみなし売却益課税をするという課税強化策を嫌って、ものすごい勢いで富裕層の海外移住が進んでいる。

 そんなシンガポールの空の玄関口がチャンギ国際空港だ。ホテルからシャワールーム、エンターテインメント施設や売店など一つの都市といっても過言ではないくらいの設備が充実している空港である。また市街地からも近い。アジアのハブ空港として、多くの企業のアジアヘッドクオーターが位置するシンガポールの利便性を高めている。

 そしてビジネスだけではなく観光誘致にも余念がない。今や先進国でカジノがないのはおそらく日本だけだろう(その代わりパチンコや公営ギャンブルが異様なまでに発展しているのだが)。シンガポールもそのうちの一つだったのだが、数年前にセントーサとマリーナベイにカジノが造られた。後発だったために先行事例を研究し尽くしているのも彼ららしい。

 カジノは自国民のギャンブル依存がデメリットとして批判されることが多い。韓国では自国民がカジノを利用することを禁止していたため、カジノビジネスの発展が妨げられた。シンガポールでは自国民も入場料を払えばカジノに入ることができる。ギャンブル依存症と診断されると入ることを禁じられるように法整備されているのだ。

 だからこそ両カジノともに毎年入場者数が増えているのだ。そしてカジノを中心としてホテルやリゾートが続々と建設された上に、初のF1ナイトレースの誘致にも成功している。

 小さな島なのにこれまでになかったタイプのリゾートを実現させているのは、建国の父リー・クアンユーの存在が大きい。マレーシアのマレー人優遇政策を嫌い、華僑の人口が多かったシンガポール島を独立させ驚くような経済発展が実現した。それは事実上の一党独裁だからこそ可能だったと言えるだろう。「明るい北朝鮮だ」とそれを揶揄する人もいるが、まるで企業のようなシンガポールのダイナミックさは一党独裁ゆえに維持されているのも事実である。

 全体的にアジア地域の経済発展が進み、その恩恵を一番受けているのはシンガポールである。経済がよくなるに伴い、街ゆく人たちのファッションセンスもよくなってきた印象が強い。美人率も心なしか増えてきているようである。

 まだまだ彼らはイノベーションを止めようとしない。国家ファンドを運営するGIC(シンガポール政府投資公社)は積極的に世界中に投資をしているし、新しい政策が次々に決まっていく。シンガポール政府の官僚は、官僚というよりは伸びゆく大企業のエリートサラリーマンのようだ。これからも発展は続くのだろう。

週刊朝日 2015年2月20日号