室井佑月 最後まで味方でいることが肝心 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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室井佑月 最後まで味方でいることが肝心

連載「しがみつく女」

神戸ポートタワー

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 コメンテーターとしてテレビで活躍する作家の室井佑月氏。しかし先日出た番組では、ネットで人気のあるコメンテーターに、なんだかなぁと思ったという。

*  *  *
 先日、BSの時事ネタを扱っている番組に出た。阪神・淡路大震災から20年ということで、その特集をやった。

 高速道路が倒れ、住宅街が燃え、人々は途方に暮れ泣いている。

 震災の映像は何回観ても怖い。時が悲しみを癒やしてくれるというけれど、一瞬でその時に引き戻される。

 番組では去年の年末に文部科学省が出した『全国地震動予測地図2014』を出し、関東を中心に30年以内に震度6弱以上の発生確率が上がっている地域をあげた。地震予知が専門の教授が出て、2011年の東日本大震災から、危険度はかなり上がっているという話をされた。

 と、そのときコメンテーターとして一緒に出演していた方が、関東のことばかりいうけど全国的に地震の危険は増しているでしょ、といった。その日ははじめから不機嫌で、教授に研究費ばっか使ってとまでいった。

 あんたがいうか、と思った。だって、あなたは原発再稼働推進派。

 だから、あたしは「全国的にというならば、原発の危険も考えないと」、そう発言した。するとその方は、

「福島原発のことをいっている? あれは津波ですよ」

 ちょっと待て。地震が来たから津波があったんじゃないの。あたしがそういうと、

「安全な場所で再稼働といっている」

 少し前まで神戸で地震が起きるなんて、というような話してたじゃん。全国的に地震の危険性が増しているって話してたじゃん。火山だって地震と関係あるよ。福島の津波だけが想定外だったといいたいのか、このオヤジ。

 ほかにも番組では、フランスの新聞社「シャルリー・エブド」のテロ事件を扱った。あたしは前々から日本のマスコミがこのニュースを「表現の自由どこまで」などと、そのことについてだけ扱うのが不思議だった。

 だって、安倍政権はこれから外国人労働者を受け入れるっていってるし、格差は広がっているし、なにより積極的平和主義とやらで、同盟国である米国と連携し、世界の平和(?)のために自衛隊を海外へ派遣することを躊躇(ためら)わないっていってるんだよ。日本でおなじようなことが起こったら……そういう不安を持って当たり前だと思うけど。

 丁度いいから、あたしは安倍さんと仲良しだというそのオヤジに、わざとその質問をぶつけてみた。そしたら、そのオジサンは「僕は移民受け入れには反対です」としながらも、「日本はイスラム教徒と仲が良いから大丈夫」みたいなことを答えた。その時点ではね。あたしはこれからのこと訊いたんだ。なんだかなぁ。

 けれど、このオジサンに反論すると、ネットで口汚く叩かれる。

 サザンオールスターズが謝罪したことに怒っている人たちがいるけど、あたしとは比べ物にならない有名人だもの、かなり大変な目に遭ったに違いない。最後まで彼らの味方でいることが、肝心なんだと思うわさ。

週刊朝日 2015年2月6日号


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室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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