取材中に見せた笑顔(撮影/写真部・工藤隆太郎)
取材中に見せた笑顔(撮影/写真部・工藤隆太郎)
練習姿(撮影/写真部・工藤隆太郎)
練習姿(撮影/写真部・工藤隆太郎)

 注目度ナンバーワンのルーキー投手、田中英祐(22)。180センチ、75キロ、切れ長の瞳が印象的な男前だ。3月に京都大学を卒業し、ドラフト2位指名されたロッテでの1軍スタートが決まった。

 頭脳派プレーで頭角を現したが、大学3年の冬ごろまでプロを意識したことはなかったという。

「入学したころもですが、まさかプロになれるとは思っていませんでした。大学3年のころに、スカウトの方が試合を見に来てくれたので、もしかしたらプロになれるかもと思いました。ですが、実感が湧かず、選択肢を広げるために就職活動もしました」

 大手商社・三井物産の内定を得たが、プロ野球選手を目指すことを決断し、京大で初めてプロ志望届を提出した。

「父親に意思を伝えると、『どこの世界に行っても最初はしんどい思いをする。地獄を見てこい』と言われました。そんな後押しもあり、やはり野球をもっと続けたいと思い、プロの道を選びました」

 練習も十分にできて指導者もたくさんいる、野球に全力を注げる環境になった。

「新人合同自主トレでは、朝8時に起床。体操をして朝食を食べ、10時から16時半ごろまでは、グラウンドや室内で練習をする。夕飯後も室内で体を動かし、これまでと大きく変わった野球中心の生活になりました」

 早く順応したいと思い、プロ生活の第一歩として、1月8日から日記をつけ始めたという。

「情報量も増えて新しいことも多くなるので、頭の中を整理するために始めました。その日の体の状態や、『今日はフォームに気をつけた』とか、印象に残ったことを忘れんとこうと思って書き留めています」

 難しいことを書いているのかと思いきや、初日は「食べたお寿司が美味しかった」と記したという。

「関東にいる友達とご飯に行って楽しかったとか、今日はしんどかったとか、そんなこと書いています(笑)」

 これまで日記をつけた経験はないという。

「一日一日になにかしらの意味を持たせるために、続けていきたい。自分がそのときどう思ったのか、できるだけ残したいと思っています」

(本誌・牧野めぐみ)

週刊朝日  2015年2月6日号より抜粋